今年の1曲 - 周深、郭沁『大鱼』  その②

さて「今年の1曲」の続き。




繰り返しになるが、ここまで綺麗な声を出せる男性歌手に出会ったことはない。
こんなことを安易に書くのは気が引けるが、「傾国」という言葉まで浮かんでしまう。

どうして男なのにこんなに綺麗で澄んだ声を持っているのだろう。
どうやったらそんなに女性的で掠れた高音まで出せるのだろう。
もしかして「女声」という意味で「ネイティブ」ではないだろうか?
初めて聴いたときはそういう疑問や感動が浮かんでは消えて、しばらく『大魚』の世界に呑み込まれた。

もちろん時間をおいた今でもこの声と曲への衝撃というのは消えていない。
だから今の周深の評価をどのように捉えればいいのかわからない。
「この程度」なのか、あるいは「まだ」なのか。

いずれにしても周深の素質が飛びぬけているのは間違いない。
『大魚』に関しては作曲をした钱雷のセンスによるところも大きいのだろう。彼は叙情的な音作りが上手で、『大魚』以外にも那英の『默』、『三生三世十里桃花』※編曲のみ、『一眼千年』など切なさや悲しさがこみあげる楽曲を多く手掛けているからだ。

また、郭沁とのデュエットを1番に選んだことにも理由がある。
まず周深の声がMusic videoよりものびのびとしている点。
もうひとつは郭沁の落ち着いた歌声にも惚れてしまった点。
郭沁も番組内で次席になるほどの実力があり、無理をしない歌声はとても魅力的だ。
これを「今年の1曲」に選んだのは2人が揃って歌う『大魚』が1番好きだからだが、郭沁ひとりでも十分素敵なのでいずれエントリーにしようと思っている。

さて、すでに中国国内では数多くの場所でひっぱりだこになっている周深だが、面白いエピソードがある。『SING!CHINA』の前身『The Voice of China』に出場した際に歌った『欢顔』で、審査を兼ねるコーチが周深の声を女性だと思って聴いていたために、対面した瞬間に椅子から飛び跳ねるくらい驚かれたことがある。

その動画は残念ながら公式のものではなさそうなので字幕だけでも一部抜粋して残そうと思う。翻訳は全てGoogleを使用。


你比女生唱得还美 → 「あなたは女の子よりも美しいです」

「あなたは女の子よりも美しく歌う」という意味合いに解釈。

这是 至今为止 → 「これまでのところ」
我们四个参加好声音 → 「私たちの4人は良い声に参加しました」
※好声音は番組名
最𨑗我惊迓的一位 → 「私がショックを受けた最後のもの」
没想到他是一男的 → 「私は彼が男であるとは思わなかった」

「我々4人がこれまで番組に参加してきて最も衝撃を受けた。まさか男だとは思わなかった」という意味合いに解釈。


広大な中国でさえ珍しい声の持ち主ということがよくわかるエピソードなので、公式に公開されていないのは惜しいところだ。

とはいっても周深の飛びぬけた歌声を知るための動画は他にも多く公開されている。
例えば、カラオケ番組や『The Voice』、『Got Talent』などの系列番組で歌われる『Time to say goodbye』だが、周深が歌うとこうなる。


周深《Time to say goodbye》:创意演唱 两种'118;格融合的新体'564;! - 单曲纯享《声入人心》 Super-Vocal【歌手官方音乐'057;道】

Youtube


サラ・ブライトマンと同じキーで歌っているが、評価は分かれるらしい。
自分は『Time to say goodbye』が嫌いだが、鳥肌が立って息をのむくらいの衝撃を受けた。そもそもオペラ歌手などのクラシックな発声法が嫌いなので、そういう歌い方と比較して「綺麗な声」を維持できる周深に軍配を上げてしまう。

続く。


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