Anitek - Your Secrets


The friends of Ringo Ishikawa

https://www.youtube.com/watch?v=vh8AqnRmMoY


どこか切ないメロディのこの曲は『The friends of Ringo Ishikawa』というゲームに採用されている。往年の「くにおくん」がベースなっているゲームなので不良学生の日常がテーマだが、製作者がロシアの方なのでひと味もふた味も違う。

この曲をメインに据える選曲センスからわかるように、ゲーム内には「切ない」と感じる要素が至る所に詰め込まれている。タバコを吸ってみたり、川辺の桟橋に腰かけて石をポイっと投げこんだり、アパートの手摺に腕をかけて他人の喧嘩を眺めたり、無駄とも思えるこれらのアクションを見ていると、実際に経験したわけでもない昭和の青春劇を追想して懐かしくなってしまうのが面白かった。

製作者がTriphop系の音源を選んだのは正解だったと思う。へたに完成した音楽ではなく、かといってゲーム用のチープな曲でもなく、それぞれの場面に沿った選曲が出来ているからだ。主人公の自宅にいる間に流れるADRIEL - Profundoという物悲しい曲はゲーム内でしか聴くことができないので、それを聴くためだけにゲームを起動することもあった。

翻訳前からプレーしていたのも音楽が聴きたかったからだが、日本語が降ってきてからしばらくしてストーリーをやってみた。よくわからない場所もポツポツあったものの、喧嘩は売らない買わないスタイルで真面目に授業に出席し、本という本は全て読み漁り、夜遊びも体力づくりもせずひたすらテスト勉強をする健全な不良生活をおくり、さあそろそろテレビでも買おうかと思った矢先に強制の喧嘩イベントに巻き込まれるという恐怖を体験する羽目になった。

そのまま敵だらけの学校に閉じ込められて危うく詰んでしまうところだったが、屋上から降りずにチマチマ敵を倒していたらなんとかなったのでそれは良かったのだけれども、最終的な場面では「おいおいそういうことなのか?」と驚かされることに。

タイトルに込められた意味も全体的にどこか寂しい世界や音楽も、全てストーリーに活かされているのだなと終わってから改めて切なくなったのを覚えている。

さて、音楽に話を戻す。

Anitekの作品はSoundcloudで確認できる他、Jamendoでユーザー登録すれば公式にダウンロードできる。気前がいいことにAnitekのTwitterには「27 album releases all free download!」とあり、他の楽曲もフリーで公開されている。また、ゲームで使用されている楽曲の大半がAnitekの作品なので、他の使用曲を聴きたい場合もJamendoが役立つ。

Jamendoの注意点として、個人使用の枠を超えて楽曲を使う場合はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従う必要がある。

最後に、情熱溢れるゲーム製作者の記事へのリンクを残す。

高校生不良ACT『The friends of Ringo Ishikawa』「キャラを描く人が見つからなかった時、名乗り出たのは58歳の父でした」【注目インディーミニ問答】
https://www.gamespark.jp/article/2018/05/19/80905.html