Heilung

先送りしたHeilung


Heilung | LIFA - In Maidjan LIVE

https://www.youtube.com/watch?v=kmWTZ3KfnXE



その姿だけでも異質なのは一目瞭然だが、奏でる音も奇声や暗い単調なリズムによって不穏さを際立たせる、普段耳にすることがない類の音。民族音楽(Tribal)あるいは伝統音楽(Traditional)の要素を良い方向に活かしたネオフォークと呼ばれるジャンルの一種だが、一定のリズムと音域をひたすら繰り返す音を聴いていると、仏教の声明や読経のように感じることもある。

北欧の伝統音楽をコンセプトにしている、一見風変りなHeilungだが、Wardrunaを始めForndom、Danheim、SKALD(Aはアクセント付き)など他にも多くのグループが存在する。いずれも伝統的な楽器を使った不穏なメロディー、独特な発声法、古代言語の歌詞やルーン文字の象徴など、古代の北欧文化(神話)に関連した作品が多い。

この音の世界との出合いは2回あった(笑)
まず『Vikings』という海外ドラマを見ていた時。
その時は特に興味を持たなかったが、後になってWardrunaの曲が使われていることを知った。

次の出合いはコルシカの声楽(Chant Corse)とブルガリアの声楽に新しい動きがないか探していた時。コルシカについてはRicordi di Petru-Pa(aにアクセント付き)が頼みになっているため、そこが停滞してしまうと他で探す必要があった。

ブルガリアも条件が悪く、BALKANESのように活動は続いているが録音品質の悪い映像しか掲載されない状況が続いている。また、ブルガリアに限らず、周辺地域の伝統音楽に次々と素晴らしいアレンジを加えて歌唱するLaboratorium Piesni(sにアクセント付き)もオフィシャルの更新は停滞気味だ。ライブの映像を掲載されることはあるが持ち歌に限りがあることと、前述のようにブルガリアの声楽とは若干の違いがあるため、Chant Corseを含めて他のグループを探していたところ、Heilungに出会った。

初めは『Vikings』を思い出したこともあって笑った。
次にパンチの効いたビジュアルで笑い、最後に『TRUE DETECTIVE』のシーズン1を見た後に、また思い出して笑った。

「頭に動物の角でつくられた冠をかぶり、さらに目隠しをされていた被害者」
「動物の骨や木の枝で作られたシンボルから連想されるカルト的な宗教」
このキーワードとHeilungのライブ映像を見比べると、つい「Heilungが黒幕の仲間役だったら…」と妄想してしまうくらいにはビジュアル面で共通しているように思えた。

『TRUE DETECTIVE』ではクスリやイカレた行為を楽しむカルト集団、という黒幕の存在を匂わせていたが、結局その部分はあっさりと畳まれてしまったのが残念だった。ある特殊な音楽によって人々を魅了して信者を増やしていく、という作品だったらHeilungの出番もあったかもしれない。それを『TRUE DETECTIVE』に当てはめるのは無理なこじつけだが、もし自分が実際にそういう音に触れたらハマってしまいそうという点は間違いない(笑)

上記HeilungのIn Maidjanという曲を初めて聴いたときはアブなかったのを覚えているが、今度リリースされる前述のSKALDのO Valhalla(oはアクセント付き)もかなりキタので素質があるのだと思う(笑)


SKALD - O Valhalla (Lyric Video)

https://www.youtube.com/watch?v=GGy_X_Yzurw


子供の頃に『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』を見て劇中歌のRametep Chantに魅了されたが、あれも邪教の儀式で使われていたことを思うと、その頃から自分の嗜好はそれほど変わっていないのかもしれない(笑)

でも、似た音のオルフの「カルミナ・ブラーナ」が色々なところで散々使われているのだから、異常というほどではないはず(笑)